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2005-11-14

[世界情勢]ハリリ暗殺の背景

シリアのアサド大統領がレバノンの政治家暗殺に関与したと調査報告が国連に提出されました。今後、どのように裁かれるのかちょっと興味深いです。事の発端は2005年2月14日に起きた元レバノンの首相ハリリの暗殺事件でその内容はこことか他にもいろいろあるのですがその背景についてはあまり書かれていません。

過去にシリアによるレバノンの政治家暗殺事件は幾つもあったと噂されていますが今回のハリリ暗殺はいままでちょっと毛色が違います。ハリリは若い頃にサウジに渡りそこで建設会社を興し成功した実業家でしたがレバノンの内戦終結後荒廃したレバノンに戻り経済復興のために尽くした政治家で、3度も首相になるほどに、政治力と民衆支持をもった政治家でした。内戦以前、レバノンの首都ベイルートは中東の金融取引の中心地として繁栄していました。シリア政府はベイルートを再び経済発展させてその儲けを享受したいと考え、やり手の実業家だったハリリに目をつけ当用し支援したのが内務大臣カナーンと、現在のシリアの大統領の父親であるハフェズ・アサド大統領でした。カナーンはハリリと交友関係もありまたハフェズ・アサド大統領の側近でもありハリリ元首相はシリア政府と密接に繋がっていたわけですがその結果、レバノンは経済発展を遂げ民衆の支持も高く、わりと良い政治家でした。ハフェズ・アサド大統領はモザイク状の各宗教宗派が鬩ぎあうレバノンにおいて絶妙な匙加減でハリリを通じて実効支配し、3人の蜜月は20年近く続きました。ところが2000年にハフェズ・アサド大統領が死去し、息子のバッシャール・アサド(現在のシリア大統領)が大統領になってから事態が変わって来ました。微妙な匙加減ですこじずつ搾取していた金の成る木(レバノン)を伐採しかねない勢いで搾取するようになりました。

父親の代からの側近であるカナーンの助言にも耳を貸さなくなり微妙なバランス上に成り立っていたレバノン政界を根底から崩してしまうようなやり方に隠れ親シリアだったハリリは怒り首相を辞めて反シリアとなって民衆の前に立つようになりました。そんな折、ハリリ暗殺事件が起こった訳でその後、10月にはハリリと親しかったシリアの内務大臣カナーンも拳銃自殺をしました。カナーンはハリリ暗殺の犯人として国連に差し出される予定だったとの噂もあり、カナーンはかなり追い詰めれられていたらしく自殺する数時間前に地元ラジオ局のインタビューには間近の死をほのめかすような内容が語られていたとの事でした。カナーンの死は公式には自殺となっていますが、暗殺されたとの噂が広く浸透おり、アサド馬鹿息子一族vs古参側近との確執からその見せしめに暗殺されたとか クーデターを起こそうとして潰されたとか諸説ありますが事実は闇の中です。

2代目のバッシャール・アサド大統領は実は次男で1994年に後継者と目されていた長男バーセル・アル・アサドは交通事故で死亡している。事故当時、後継者としての教育をなんら受けていなかった次男バッシャールが急遽教育を受けて大統領となったいきさつがあります。またバッシャールドの弟や従兄弟などがレバノンで通信会社を経営しており、バッシャール・アサドの息のかかったレバノンの大統領ラフードと利権で深く繋がっているようでラフードの政敵であったハリリの暗殺は利害が一致した結果ではなかったのかと勘ぐってしまいます。

ここらは勝手な憶測ですが・・・
次男坊として生まれたバッシャールは放蕩息子で将来を父の跡を継ぐ気も無く気楽に暮らしていたのに長男が事故で急死してしまってやりたくもない大統領をむりやり押し付けられた。しかし本来大統領の器でもなく父親のやり方にも反抗し、父親の代からの側近にも耳を貸さず弟と利権だけを貪る小物。父親ほどの反骨精神もなくなんとかアメリカに許してもらおうとアメリカの意向には極力逆らわず譲歩を繰り返していますがブッシュはシリアに強行な姿勢を崩していません。ハリリ暗殺はどうみてもアサド一族にとってマイナスです。目先の利権に目がくらんで暗殺してしまったのかマイナスとわかっていも暗殺しなくてはならない他の事情があったのか判りません
一般的には シリア政府中枢がハリリ暗殺に関与が濃厚となっていますが 調査そのものアメリカの圧力や意向が色濃く反映されているとの見方もあり報告書そのものも信憑性が高いかどうか不明なので本当の事実が明るみになるのはまだまだ先の話なのかもしれませんが小説のネタっぽくてなかなか面白いです。




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