2005年4月25日  中国は「ゾンビ」PC大国


ウィルスとワームの違いをはっきりと認識している人はわりと少ないかもしれませんが、両者の区別はだんだん無くなってきつつあります。今回はワームのお話です。ワームのなかでも特にバックドアを呼ばれるリモートアクセス機能付きの奴です。
一昔前の奴らは 自分の存在や感染の事実を主張したり、悪さをしたり というのが一般的でしたが最近やつらは深く静かに見つからないように潜伏します。そして自分の創造主(クラッカー)からの指令をひたすら待ちます。創造主からの指令にはいろいろあって特定のサイトをDOS攻撃したり、フィッシング詐欺のメール発信基地になったり、未サポートの機能を追加するプラグインをダウンロードして実行したり、とさまざまな指令を実行する機能を持っています。このようなワームに感染したPCをゾンビPCと呼んでおり、ゾンビPCの集合体をボットネットと呼んでいます。一人のクラッカーが数千、数万のゾンビPCを支配下に置いている場合もあり、アンダーグラウンドではその数が彼らステータスともなっています。

数千、数万という一般家庭のPCを自分の指令一つで自由に操れるということは大変なことです。去年の6月に起きた GoogleやMSN、Yahoo!等の主要サイトへのDDoS攻撃もゾンビPCからの一斉攻撃だったとのではないかとの推測されています。大規模なボットネットを持っているたった一人のクラッカーによってダウンさせることが簡単にできてしまうということですね。

そして、当然といえば当然ですが 『誰が1番か?』 とボットネットの規模を競うようになり、中には、ライバルのワームを駆除して自分のワームをインストールするという荒業を実装したワームも登場するようになりました。 このような激しい攻防戦がPCのオーナーが全く知らないところで起こっているなんてちょっと面白いですね。ライバル同士がお互いが駆除し合う泥試合は一時加熱しましたが最近はちょっと事情が変わってきました。というのは中国です。最近、中国ではインターネットの普及から急速にゾンビPCが増殖しており、泥試合をしなくても未開拓なPCが豊富にある供給されるようになったわけです。中国でのゾンビPCは現在も増え続けており、ボットネットの増加は今後もしばらく続くと予想されています。

まったく中国ってなにかとやっかいな国ですね