2003年8月20日  その名はセル


「セル」と聞いて、ドラゴンボールZのセルを思い出した人、極めて一般人です。ジェニファーロペス主演のサイコ映画を思い出した人、ちょっとキてます。

でも今回はどちらも違います。「セル」は次世代のCPUアーキテチャーとしていま注目を集めており、PlayStation3に搭載されるとも噂されているCPUなのです。これは、ソニーより出された特許文書よりの推測ですがPlayStation3に採用される見込みが強いともっぱらの噂で、この特許文書に書かれた内容をさらに詳しく読み砕いていくと今後のSONYの戦略やPlayStation3のスペック等もおぼろげながら見えてきます。

このCPUは今までの X86とは全く異なるアーキテクチャーで 小さな演算プロセッサーの集合体で構成され、システムの規模によってプロセッサーの数をかえるだけで基本のアーキテクチャーは同じという発想になっています。

プロセッサーの数を変えるだけでサーバー用CPUから携帯端末CPUまで同じOS,同じプログラムで動くという訳です。とても斬新的でユニークなアーキテクチャーですがセルがセルたる所以それだけにあらず。セルは設計段階の基本思想から分散コンピューティングを前提とした初めてのハード+ソフトの集合体なのです。

UNIXの世界ではCPUパワーをネットワーク上の他のHostより借りることができます。これはOSによって実現されている機能ですがこれをハードレベルでサポートできるようになり、シームレスにネット上のCPUパワーを活用できるようになります。実はWindowsもこれを目指して進化を続けているのですね。セル版Windowsなんてものまんざら夢物語ではないかもしれません。ひょっとしたらIntelもセルアーキテクチャーに似たCPUを作るようになるかもしれません。

ではセルになると一体どういう風に変わるかというとパーソナルスーパーコンピューターを安価に得ることが出来るようになります。Playstation3では 32個のプロセッサーが実装されると予想されておりその処理能力は1テラFLOPSにもなると予想されています。1テラFLOPSといえはWindows95が出た年のスーパーコンピュータがやっとこのクラスに到達した演算能力でした。(2003年現在最高は約40TFLOPS)

さらにネットワーク上に繋がったPlaystation3のCPU空きパワーを借りればさらに処理能力が向上する可能性も秘めています。 SETIを代表とする分散コンピューティングが特別なプログラム無しで簡単に実現できるようになるでしょう。現在、インターネット上に様々なサーバーがサービスを提供していますが、CPUパワーもサービスの対象となりインターネット上に登場するのもそう遠くない未来かもしれません。